ボールペンにもいろいろ種類がありますが、大抵のボールペンは寒いところではインクが固くなってうまく書けなくなったり、濡れた紙に書こうとすると水分がボールから侵入してきて書けなくなることがあります。インクがぬるぬる出てくるジェットストリームのような低粘度油性ボールペンでもその影響を受けてしまいます。
そこで力を発揮するのが加圧ボールペンです。加圧ボールペンとは、空気の力でインクを押し出して筆記する方式のボールペンです。空気がインクを押し出してくれるので、例えばペンを逆さにした状態でもインクが出たり、寒い場所での筆記や、濡れた紙に対してもインクがかすれにくい…要するにボールペンの弱点をカバーしているのです。
さてそんな加圧ボールペンですが、一般的な文房具屋やホームセンターでも購入できるリーズナブルなモデルが三種類あります。
この記事では上記三種類の加圧ボールペンを比較していきます!
加圧ボールペン三本を比較!
三菱鉛筆のパワータンク
今回紹介する加圧ボールペンの中で一番細く、そして安いのがこのパワータンクです。
ダウンフォースとエアプレスとの違いはリフィル自体を加圧式にしていることです。リフィルの中でインクに3000hPaの圧がかかっているのです!
ダウンフォースやエアプレスはノックの際に芯に加圧する仕組みなのでペン自体が太くなってしまいますが、パワータンクはリフィル自体を加圧式にしているので細いボディを実現できています。
※リフィル自体が特殊ということでその分リフィルの金額も高めの設定になっており、初期費用は最も安くても継続して使うと高くなってしまうかもしれません。
また、パワータンクのリフィルを搭載した高級ボールペン『ピュアモルト 加圧ボールペンリフィル搭載モデル』もあります。「質感も大事!」という方には是非オススメしますよ!
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パイロットのダウンフォース
こちらがダウンフォース。ノックするとインクに圧がかかる仕組みになっています。
同じくノック時に加圧するエアプレスと比べると、見た目がプラスチッキーでクリップも含めて何だか安っぽいとか言われるダウンフォース。しかし同じくパイロットから発売されている低粘度油性ボールペン『アクロボール』のリフィルが使えます。加圧+超ぬるぬる書けるアクロインキでストレスフリーな書き心地を実現できるのです!
※メーカー推奨のリフィルはBKRFですが、アクロインキが入ったBVRF系のリフィルと太さと長さが同じのため搭載することができます。
※今回は平等に比較するためアクロインキは使用しておりません。
トンボ鉛筆のエアプレス
ゴツさ、力強さでは圧倒的なエアプレス。ダウンフォース同様ノック時に加圧する仕組みになっています。
見た目のタフさ、ラバー感ある素材、カラーバリエーションがなんだか洒落ていて、現場の人以外でも自転車乗りの人が使っていたらカッコ良さそうです。
ダウンフォースと同様に、リフィルのサイズさえ合えばメーカーが推奨しているもの以外でも使用可能。ただしボディが短いためリフィルの選択肢は少ないです。
クリップは測量野帳くらいの厚さのものなら挟むことができます。
パワータンクvsダウンフォースvsエアプレス!
この三本の中でどれが一番優秀なのか気になってしまいました。特に寒さと濡れた紙に対する強さは加圧ボールペンを選ぶにおいて非常に大きい要素となってきます。パワータンク、ダウンフォース、エアプレス、この三本の中で最も寒さや濡れた紙に強いボールペンは果たしてどれなのでしょうか。
それを検証すべく、決戦の地へ…。
北海道へと飛びました。
中部国際空港から新千歳空港まで約1時間40分、更に車で1時間ほど移動し、決戦の地となる小樽市の山の中にやってきました。
おお…、これぞまさしく北海道。一面の雪景色、そして氷点下の世界。まさに加圧ボールペンを比較するのにふさわしい地ですね!
雪の山に加圧ボールペンをぶっ刺して一晩放置すれば面白そうだと思ったのですが、しかしそれだと失くしてしまう可能性があります。持ってきているボールペンはそれぞれ一本ずつなのでそれは避けなければなりません。
宿泊先のバルコニーの隅にいい具合に雪が積もった場所がありました。ここにボールペンを一晩置いてみることにしました。
左から順番にエアプレス、パワータンク、ダウンフォースという並びです。
設置が完了したので、あとはボールペンを一晩放置して翌朝の描き心地をチェックするだけです。果たしてどのような結果になるのでしょうか…!
一晩寒いところに置いた加圧ボールペンの書き味は…?
こちらがキンキンに冷えた加圧ボールペン3本。それぞれ書いていきましょう。
まずパワータンクで書いてみたのですが全く問題なく書けました。インクもしっかりくっきり出ており、詰まりそうな感じは一切なしです。
続いてダウンフォースも全く詰まる気配などありません。インクも色濃く出てきます。
そして最後にエアプレス…これも問題なくインクが出てきました。
キンキンに冷やした加圧ボールペンで書いてみた結果は…
- パワータンク…インクが詰まることなく書ける
- ダウンフォース…インクが詰まることなく書ける
- エアプレス…インクが詰まることなく書ける
各メーカーともいいボールペンを作っていますね!北海道の山の中でキンキンに冷やしてもインクが固まることなく書けます!
更に濡れた紙に書いてみた
さてキンキンに冷やしても書くことができましたが、濡れた紙には書くことができるのでしょうか。
紙を濡らすべく雪を溶かします。ちなみにこのときの私は半袖です。
紙がしっかりと濡れたので書いていきます。
まずはパワータンク。たまに線を引く際に点線みたいになってしまうことがありますが、濡れた紙に対してもしっかり濃い字を書くことができます。
続いてダウンフォース。全体的にくっきりした線を引くことができ、パワータンクよりも濃い字を書くことができました。
最後にエアプレス。手がかじかんできて元々下手な字が更に下手になっていますが、それとは関係なく線が途切れたり色が薄かったり…パワータンクやダウンフォースと比べるとうまく書けません。
寒い中、キンキンに冷えた加圧ボールペンで濡れた紙に書いてみた結果…
- パワータンク…たまに線が点線のようになるものの実用性に問題なし
- ダウンフォース…線も色もくっきりしており濡れた紙に書いていると思わせないほどの実力
- エアプレス…書けなくはないものの線が途切れたり薄くなる
良かった順に並べると、ダウンフォース>パワータンク>エアプレスという結果になりました!
まとめ
寒い寒い北海道で3本の加圧ボールペンを比較してきましたが、寒さに対しては大差なく同じような結果となりました。
濡れた紙に対してはダウンフォースがよりくっきりとした字を書くことができ、パワータンクも充分実用的といえるレベルでした。エアプレスが書き込めるけど不安のある結果となりました。
ちなみに、それぞれの金額(定価)を見てみると、
- パワータンク…200円消費税
- ダウンフォース…400円+消費税
- エアプレス…600円+消費税
パワータンクが一番安いですが、リフィルが特殊で定価100円+消費税とやや高めの値段設定。ダウンフォースやエアプレスは他のボールペンでも使われているリフィルなので、安い金額でリフィルを交換することができます。そのため初期費用を考えるとパワータンクが一番安いですが、維持費を考えるとダウンフォースの方がお得になります…まあ数十円の違いなのですが。
というわけで…
やや金額が高くても濡れた紙に対してより書きやすいペンが良ければダウンフォースを、ボールペン本体の金額が安いものが良ければパワータンクをオススメします。オシャレ志向の方はエアプレスで!