ボールペンを購入する際に、
「どのインクのボールペンを購入しようかな?」
と考えたことはありますか?
インクにはそれぞれ特徴があるのですが、それを理解してボールペンを選ぶと快適なより快適な文具ライフが遅れますし、ボールペンを選ぶのが楽しくなってくるんです!
というわけで、今回はボールペンのインクについて綴ってみました。メリットやデメリットといった特徴を解説していきますよ!
ボールペンの油性・水性・ゲルインクの違い早見表
ボールペンの油性・水性・ゲルインクの違いを簡潔に表にまとめると、以下のような感じになります!
油性ボールペン | 水性ボールペン | ゲルインク | |
インクの溶剤 | 油性 | 水性 | 水性 |
インクの素材 | 染料または顔料、 アルコール系溶剤、 樹脂、添加剤 | 顔料または染料、 水、添加剤 | 顔料または染料、水、ゲル化剤、添加剤 |
インクの粘度 | 高 | 低 | 低〜中 |
書き出し | かすれやすい | かすれない | かすれない |
発色性 | 悪い | 良い | 良い |
書き味 | 重め 筆圧を書けないとしっかりと書けない | 軽い 筆圧を込めずに濃い線が書ける | 軽い 筆圧を込めずに濃い線が書ける |
ボテ | あり | なし | なし |
滲み | 滲まない | 滲む | 滲みにくい ※油性よりも滲むが、水性ほど滲まない |
耐水性 | 高い | 染料:低い 顔料:高い | 染料:やや低い 顔料:高い |
耐光性 | 高い | 染料:低い 顔料:高い | 染料:低い 顔料:高い |
一覧表のため細々としており具体的な説明がありませんので、正直これだけでボールペンのインクの特徴を掴むのは難しいかなと思います。
そんなわけで、油性ボールペン・水性ボールペン・ゲルインクボールペンの順番で、もう少し詳しく見ていきましょう!
油性ボールペンの特徴
一般的な油性ボールペンの特徴
油性ボールペンに使われている油性インクには、名前のとおり溶剤に油が使われています。
メリットとしては滲みに強く、耐水性に優れ、また速乾性も高く滲みにくいところです。あらゆる紙に対しても滲みにくく安定して書けます。また夏に汗が、また現場作業で水が垂れてくるといった場面にも強いのは油性ボールペンの強みでしょう。
また耐光性が高いのも一つのメリットと言えます。耐光性とは主に太陽光(紫外線)に対してどれだけ脱色や変色に耐えられるかを示す性能になります。油性ボールペンは全体的に耐光性に優れているため、長期保管される文書等への使用に適しています。それ故に公文書や契約書等への使用にはぴったりのボールペンだと思います。
ただし、インクの粘度が高く、それ故に書き始めでかすれたり、書き味が重いといったデメリットがあります。その上ボテ(ペン先に溜まったインクがベチョっとつくアレ)もできやすく、せっかく速乾性に優れていてもそれでは意味がありません。更にペンを長期間放置するとインクが固まってしまい書けなくなってしまうことも油性ボールペンのデメリットと言えるでしょう。
またインクの発色性が悪く、色の種類も少ないデメリットもあります。油性ボールペンで流通されているもののほとんどは黒・青・赤・緑の4色です。しかもどれも暗い感じの色合いになります。
滑らかな書き味の油性インク「低粘度インク」の登場
ただ最近では油性ペンのデメリットをカバーした「低粘度インク」が猛威を奮っています。
低粘度インクとは油性ボールペンでありながら滑らかに書ける油性インクのボールペンです。ジェットストリームやアクロボールといった人気のボールペンが低粘度インクを採用しています。軽い筆圧ではっきりと濃い線を筆記でき、また油性なので速乾性にも優れています。
また通常発色性が悪い油性ボールペンですが、低粘度インクは通常の油性インクと比較すると発色性もかなり改善しています。カラーバリエーションも豊富になり使用用途も大きく広がりました。
油性ボールペンの特徴まとめ
油性ボールペンについて簡単にまとめるとこんな感じ!
- 耐水性に優れ、滲みにくいのが最大の特徴
- 耐光性も高く、長期保存する公文書等の書類への使用に適している
- 発色性が悪く、カラーバリエーションも少ない
- 粘度が高く滑らかに書けない
これだけ見ると書きにくそうですね笑
しかし低粘度インクの登場によって滑らかに書けるタイプの油性ボールペンも増えています。また発色性も良くなり、インク色も増えてきました。
水性ボールペンの特徴
水性ボールペンのメリット・デメリット
水性インクは粘度が低く、サラサラと書けるのが特徴です。インクが詰まりにくく紙への引っかかりも少ないため、軽い筆圧でスムーズに且つはっきりとした線を書くことができます。
また発色性の良さも水性ボールペンの特徴と言えます。ですが、残念なことに現在市場に出回っている水性ボールペンのほとんどは黒・赤・青の三色構成になっています。
一方デメリットとしては、乾くのが遅いことと滲みやすい点でしょう。水性ボールペンはインクが乾くのに時間がかかり、インクに触れてしまい手や紙面が汚れる原因となります。また筆跡に水滴や汗などが垂れてしまった場合簡単にインクが滲んでしまいます。というわけで、手紙の宛名書き等には向いていません。
染料インクと顔料インクの違い
ところで水性ボールペンのインクには染料を使ったものと顔料を使ったものの2種類があります。
「染料インクと顔料インクって何だ?」と思った方も多いと思いますので、これまた超簡単まとめました!
染料インク | 水に溶けやすい染料を色材として使ったインクで、紙に染み込み馴染みやすい |
様々なカラーバリエーションのインクを作りやすい | |
耐光性と耐水性が低いため、長期保存には適さない | |
顔料インク | 水に溶けない細かい粒子(顔料)が混ざったインクで、紙の表面に粒子が付着する |
耐光性と耐水性が高く、長期保存に適している | |
顔料がペン先で詰まる可能性がある |
染料インクと顔料インクの大きな違いは「水そのものに色がついているか」という点です。染料は水で溶けるので水そのものに色がついていますが、顔料とはタピオカドリンクのように色のついた粒が水の中に大量に混ざっているから水がその色に見えています。
染料インクは紙に染み込むので裏抜けしやすいのですが、顔料インクは紙の表面に粒子が付着するので裏抜けしにくいという利点があります。また顔料は耐水性にも優れているため滲みにくいというのも強みでしょう。
また顔料インクについては耐光性にも優れていますので、長期保存する文書への使用もできます。一方染料インクは耐光性が低く長期保管にはあまり適していませんので、公文書への使用基準を満たしていないボールペンがほとんどです。
ただし、顔料インクの細かい粒子がペン先で詰まる可能性もありますので注意が必要です。
ちなみに染料インクと顔料インクについては、以前万年筆のインクを用いて解説した記事もありますので、こちらを参考にして頂ければと思います
水性ボールペンの特徴まとめ
というわけで水性ボールペンの特徴はこんな感じ!
- サラサラとした書き味で、軽い筆圧ではっきりとした線を書くことができる
- 発色性は良くカラーのインクも作りやすいが、販売されているのは黒・青・赤が多い
- インクが乾くのが遅く、水滴がつくと滲む
- 染色インクを使った水性ボールペンの場合はとにかくサラサラと書けるが、顔料インクを使用したものは詰まる可能性あり
…これだけ見ると正直いいところが少ない気がしますが、実際に売り場に水性ボールペンの商品数も少なく、このあと紹介するゲルインクボールペンに圧されています。
最大の強みである「サラサラとした書き味」を最大限に重視するならば水性ボールペンが最もいいかと思います。しかし耐水性や速乾性も求めるならば低粘度インクの油性ボールペンやゲルインクボールペンの方が良いでしょう。
ゲルインクボールペンの特徴
ゲルインクは油性インクと水性インクのいいとこ取りをしたインク
ゲルインクは水性インクの弱点をカバーしたインクと言えます。通常の水性インク同様に軽い筆圧ではっきりと濃い線を書くことができ、また油性インクのように滲みやすいという特徴も持っています。
書き味の良さと滲みにくさの両立はもちろんゲルにありますが、なんとゲルインクは粘度が変化する性質があります。リフィルの中に入っているときは粘度が高いゲル状になっていますが、ペン先のボールを回転させると水のように粘度が低い状態で出てきて、紙に付着するとまたゲル状に変化するのです。
また発色性が高く、カラーバリエーションが豊富。ゲルインクボールペンの中には20種類以上のカラーバリエーションがあるシリーズもあります。
ゲルインクのデメリットを挙げるなら、インクの減りが早いということでしょう。ボールペンでたくさん筆記する人なら「一週間でインク切れ…」なんてこともあります。またペンの先でゲルが固まってしまうこともあり、途中で書けなくなってしまうこともあります。
ゲルインクも染料と顔料を使ったものに分かれる
さて水性ボールペン同様にゲルインクも染料と顔料を使ったものに分けることができます。ゲルインクの場合でも、それぞれの特性は水性ボールペンと変わりません。
染料が使われたゲルインクボールペンは発色が良く、カラーバリエーションも豊富。しかし染料の場合、ゲルインクでも耐水性が劣りますので汗を流す現場向けの仕事には向きませんし、手紙の宛名書きの用途でも使用を避けたいところ。
顔料インクの場合インクの色は劣りますが、耐水性が高くて水滴が付着する可能性がある場面でも使えます。しかし顔料を使っているため使用中にペン先でインクが詰まってしまう可能性があります。
またゲルインクの場合でも顔料は耐光性に優れています。しかし染料については耐光性が低く、やはり長期保管する文書への使用には適していません。
ゲルインクボールペンの特徴まとめ
ゲルインクボールペンの特徴をまとめるとこんな感じ!
- サラサラとした書き味で、軽い筆圧ではっきりとした線を書くことができる
- 発色性が良く、カラーバリエーションが豊富
- インクが乾くのも早く、耐水性にも優れ滲みにくい
- インクの減りが早い
- ゲルが固まって詰まることがある
冒頭でも説明したように、ゲルインクは油性と水性のいいとこ取りをしたようなインクです。書き味、耐水性、そしてカラー全部ほしいという方は、とりあえずゲルインクボールペンを買っておけば間違いないかと思います!
まとめ
最後に再度早見表を見てみましょう!
油性ボールペン | 水性ボールペン | ゲルインク | |
インクの溶剤 | 油性 | 水性 | 水性 |
インクの素材 | 染料または顔料、 アルコール系溶剤、 樹脂、添加剤 | 顔料または染料、 水、添加剤 | 顔料または染料、水、ゲル化剤、添加剤 |
インクの粘度 | 高 | 低 | 低〜中 |
書き出し | かすれやすい | かすれない | かすれない |
発色性 | 悪い | 良い | 良い |
書き味 | 重め 筆圧を書けないとしっかりと書けない | 軽い 筆圧を込めずに濃い線が書ける | 軽い 筆圧を込めずに濃い線が書ける |
ボテ | あり | なし | なし |
滲み | 滲まない | 滲む | 滲みにくい ※油性よりも滲むが、水性ほど滲まない |
耐水性 | 高い | 染料:低い 顔料:高い | 染料:やや低い 顔料:高い |
耐光性 | 高い | 染料:低い 顔料:高い | 染料:低い 顔料:高い |
改めて見てみると「ゲルボールペンを選んでおけば無難じゃないか?」と思うかもしれません。書き味が良いだけでなく耐水性能や滲みにくさも兼ね備えた優秀なインクですので、実際に人気があります。
ただ個人的にはやっぱり油性ボールペンが好きなんですよね!油性ボールペンのインク色とか渋くて大好物ですし、速乾性と耐水性に最も優れている点が大きいです。また低粘度インクボールペンで書き味についてはかなり改善されましたし、それ以外にも加圧式で弱点をカバーしているボールペンもありますので、そういったところも油性ボールペンが好きな要因になっています。
水性ボールペンについては正直ゲルインクボールペンに立場を奪われてしまったという印章が強いですね。量販店に言っても水性ボールペンコーナーに置いてあるのはほとんどゲルインクボールペンです。ただゲルインクボールペンよりも詰まる心配が小さいという点は水性ボールペンの大きな魅力だと思います。ひたすらスラスラ書けるって良いですよね!
団子
ボールペンを選ぶ際は、用途とインクの特徴を照らし合わせながら考えてみるのがベストですよ!