パイロットの万年筆『カスタム845』を2019年の8月に購入したのですが、買ってすぐに万年筆はカスタム845ばかりを使うようになってしまいました。
前々からパイロットのハイブランド万年筆には興味があったことと、楽天ポイントがかなり溜まっていたことが重なっていたので購入に踏み切りました。結構高額でしたが「よし買うか!」と留まることはありませんでした。
手元に届いて実際に使ってみると、その質感と書きやすさに感動してしまいました。真っ黒な軸は漆塗りで、光を当てると漆ならではの光沢を放ち、うっとりするほど美しいのです。またニブが紙面に触れたときの感触、滑らかな書き味を体験したときに、心から「買ってよかった」と思いました。
今回は国産メーカー最高峰の万年筆 パイロットの『カスタム845』をレビューを綴っていきます。「良い万年筆を持ちたい」と考える人にとってベストな選択肢になる万年筆です!
デザイン

カスタム845は黒軸に金トリムの王道デザイン。シンプルですが「これぞ高級ペン!」と言わんばかりの重厚感がありますし、どの時代でも廃れることのない安心感があります。

軸がエンタシスのように中間部分が緩やかに太くなっていますが、この流れるような曲線が美しいのなんの。
表面のつややかさが軸の曲線の美しさを引き出していますが、カスタム845の主要部分の多くはエボナイト製で、漆で仕上げてあります。

ニブは18Kのバイカラー使用。銀色の部分はロジウムメッキになっております。金ニブのバイカラーは高級感があるのはもちろんのこと、単純にかっこよくて見ていてうっとりしてしまうんですよね。
流行にとらわれることのない王道的なスタイルと材質の美しさが光る高級万年筆です。
手に吸い付く握り心地

カスタム845の主要部分はエボナイト製で、漆で仕上げてあります。
エボナイトとはゴムから作られる天然樹脂。プラスチックと比べるとエボナイトは加工が難しく、万年筆の軸にするためにも一本一本を削り出していく必要のある素材です。つまりエボナイトは量産には不向きな素材なのですが、硬質でありながら滑りにくく、手汗をかいでいても手にしっくりきます。まさにペン向きの素材なのです。
だから書く際に緊張して手汗をかいでしまう人にとっても書きやすいペンと言えます。
ペンの重心もまた絶妙で、ペン尻に付けた場合とそうでない場合のどちらでも握りやすくなっています。
購入時にコンバーターが付いてくる

万年筆を購入するとよくカートリッジが付いてくるものがあり、コンバーターについては別売りになっているものが多くあります。
ただカスタム845においては最初からコンバーターが付いてくるので別で購入する必要がありません。
インクを持っていない人は購入しておきましょう。
ちなみにコンバーターはCON-70のプッシュ式ですが、カスタム845に付属のものはオリジナルのデザインになっています。
ニブは硬めながら、ソフトな書き味

カスタム845のニブを紙に当てたときの率直の感想は「あれ、ニブが硬い?」ということ。あまりしなりを感じないペン先になっています。
しかしだからこそ書く際の無駄な力が抜けるのを感じます。ニブがしなるとたまに故意的にしならせたくなるのもあって無駄な力をいれてしまうことがありますが、しならないからこそ故意にそうすることもありません。紙にニブを押し当てて、後はそのままスッと書くだけ。

ニブにしなりはありませんがカリカリとした書き味ではなく、ペン先が紙に引っかかることなくソフトな感覚で書くことができます。ニブは固めだけど書き味は柔らか…一見矛盾していそうですが、カスタム845の滑らかな書き味はそう例えるのが個人的にしっくりときます。
カスタム845で書いてみるまで金ニブの万年筆はしなりのある柔らかなものが良いとばかり思っていました。しかしこの万年筆は脱力して、自然なままで書くことができます。だからこそ書くことに集中できるのです。
ただ高級なだけではなく、実用性も高い万年筆

カスタム845はデザインが高級なだけでなく、握りやすさと書きやすさも上質な万年筆です。
エボナイト製の漆塗りで、手汗をかいでもしっくりくる握り心地なので、緊張する重要なシーンでの筆記にも重宝します。
ニブは硬めに感じますが、だからこそ無駄な力が入らずにスッとペン先を走らせることができます。ソフトなタッチで滑らかにインクが出てくるこの書き味は感動モノです。
材質、デザイン、実用性…価格が高いのにはそれだけの理由があります。カスタム845は税別50,000円もする高級万年筆ですが、実際に使ってみると納得の金額だと感じるでしょう。少し背伸びしてでも手に入れるべき、感動の使い心地を味わえる万年筆です。